2013年6月17日月曜日

値付け(プライシング)は経営そのもの

スマート・プライシング 利益を生み出す新価格戦略/ジャグモハン・ラジュー, Z・ジョン・チャン 

経営において経営者が自社の収益性を高めるためにコントロールできるレバーは4つしかない、と著者たちは言う。その4つとは、「価格」「販売数量」「固定費」「変動費」である。これらはもう少し整理すると下記のように表現できるように思う。




このうちの「単価=価格」が本書のテーマなのだが、小さな利幅の繰り返しで利益を積み上げる飲食や小売り業にとっては、特に生命線とも言っていいテーマだ。本書はこのプライシングにおいてのパターン化を手助けしてくれる。
書籍の評価をする際に、このパターン化を容易にしてくれるかどうか、がひとつの指標となりうる。経営者の書いた本は具体性と視点の多様さという点において非常に勉強になる。一方、この本のように学者が書いた本は事例をパターンとしてすでに提示してくれるので、パターン化は容易だ。
経営効率の上の図と、下記にまとめたプライシングのパターンを見ながら、戦略を考えてみると経営効率を上げるためのアイディアが浮かんでくるかも知れない。

※このモデルを飲食業に当てはめて考えると、飲食の業態というのは多くが1. コストプラス法、2.スキミング(高級レストランなど) 、3. 競争に基づく価格設定、4. 需要に基づく価格設定の伝統的な4つの視点でプライシングされていることがわかる。5.〜12.のプライシングの方法を飲食の業態に当てはめると・・・と考えることで新しい飲食のビジネスモデルを考えるネタになる。


<プライシングのパターン>
1. コストプラス法(ぺネストレーション)
かかった原価に基づいてプライシングを行う方法

2. スキミング
富裕層などを狙い、顧客が感じるバリューの最大限まで価格を上げる方法

3. 競争に基づく価格設定
競争相手の販売価格をベンチマークしながら常にそれよりも競争力のある価格を設定する方法

4. 需要に基づく価格設定
需要予測に基づきながら、価格設定をしていく方法。

5. ペイ・アズ・ユー・ウィッシュ価格設定
購入者が、妥当だと思う価格を支払う方法

6. フリーミアム
一定のサービスを無料で提供し、有料のサービスに誘導しながらマネタイズする方法

7. 少額に見せる作戦
1回あたりのコストを極少額に見せることで、購買のハードルを下げる一方、全体の利益は大きくする方法

8. 自動値下げ方式
時間の経過とともに一定の比率で値段が下がる設定を行う方法

9. 購入価格指定方式
買い手が買値を提示し、売り手がそれに入札し、価格設定する方法

10. サブスクライブセーブ
会員になることで顧客にとってのコストが低くなるような価格設定をし、顧客を囲い込む方法。顧客は費用を払ったことからよりそのサービスを利用しようとする

11. スノッブプレミアム
会員になるために一定の基準を設け、その基準以下の人を排除することで、特別感を与え、価格を上げる方法

12. 成果報酬方式
何等かの成果や利益貢献に応じて価格を設定する方法


*その他、「デマンドベースプライシング」として下記に日本マクドナルドの例を挙げた
http://managementxyz.blogspot.jp/2013/07/blog-post_21.html


スマート・プライシング 利益を生み出す新価格戦略/ジャグモハン・ラジュー, Z・ジョン・チャン 

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